湯浅監督の作品だと思ってたけど、湯浅監督作品は『日本沈没2020』の方だった。その事実に気づいたのは5話目くらいだったけど、5話まで観たらもう途中で止まれるような作品ではなく、今しがた全部見終わった。
2009年にノイタミナで放送された作品。
まずオープニングの被災した東京の緻密なスケッチに圧倒される。
あらすじについては、語ると蛇足になるので控える。観たら圧倒される。余計な再話をしたくない。
地震が繰り返し襲うことによって、最初は無事だった建物が崩落していく描写や、崩落によって生じる被害が生々しく描かれていた。
東京タワーも2日目には倒れてしまう。
レインボーブリッジも燃えて崩れ落ちる。
学校は避難所兼死体安置所になり、平時にはありえない数の人が死ぬ。家族も死ぬ。連絡もつかないから、生きているかどうかも分からない。避難してても揺れる。
ということがとてもわかりやすく描写される。
この作品が作られてから10年以上経つけれど、やはり東京タワーは倒れてしまうのだろうか。かつて都市を賑わせ人々に愛されたランドマークは、大勢の人を下敷きにして崩れ落ちるのだろうか。
こんな国に生きているんだよなあと思いながら。
それは他人事じゃなくて、明日にも自分の住む街に大きな地震が起こるかもしれないほどに、どうしようもなく避け難く、繰り返し起こる。
こんな国に生きているんだよなあ。
この作品を2009年にリアルタイムで観た人は、きっとフィクションの世界のことだと思ったのではないだろうか。私たちの世代は、阪神淡路大震災を経験していない。(生まれてたけど、遠くの大災害を認識できない程度に子供だった)
それからいくつもあまりにも大きな災害が起きた今観ると、フィクションじゃないんだなと思う。起こることも、人の気持ちも。
今年のブログが書き始められなかった。
この作品は今年の1月を物語ってくれる。
年始からなにもかもが崩れてしまった人がいる中で、何かを始められること自体がどれだけ贅沢なことなのか、噛み締めていた。
帰る家があることが、家族が生きていることが、当たり前じゃないんだよなと思う。
そういうことに鈍感にならずに、実にきまぐれに与えられている今を生きていく。