またたび感想録

観たもの聴いたもの読んだものの感想を述べます。

2024-01-01から1年間の記事一覧

とっ散らかり中につき…

今年も部署異動があった。 まさかである。 地獄のカウンター業務から脱出した先には魔王が待っていた。 「君の担当する業務は今、最悪な状況にある。」 「なんとかしないといけませんね」 「まず赤字から脱出しようぜ」 「ええ…いやあでも、他の業務もあるの…

羽海野チカ『3月のライオン』1-3巻

3月のライオンを読み始めた。 3月のライオンという物語に出てくる人々は、それぞれの持つ背景が濃い。主人公からして、史上5人目の中学生プロ棋士であり、幼くして実の両親と妹を亡くして父の友人のプロ棋士の家に引き取られたものの、家に居場所を見出せ…

大江健三郎『死者の奢り』

大江健三郎は初めて読んだ。初期の作品らしい。 数知れぬ死体が浮き沈みする医学部地下の遺体保管プールでのとある日のできごとを描いた短編。 周辺に終始翻弄されながらも物思いにふける男子学生が主人公。 開幕シチュエーションはインパクトがすごいんだけ…

笙野頼子『タイムスリップ・コンビナート』再読

私は前にこの話を本当に読んだのか?と思いたくなるくらい、知らない描写が現れてきて戸惑った。 再読、『タイムスリップ・コンビナート』。 この話は「私」が自宅のある都立家政駅から海芝浦駅まで行く物語なのだが、途中で降りたり乗ったり待ったりと結構…

山口つばさ『ブルーピリオド』15巻

去年買って読めてなかったのを読んだ。 ブルーピリオドという作品はつくるひとたちの物語なので、読むとこんな木端物書きにも何かしら問いかけてきたり、心を動かしてきたりする。強い作品だなあと思っている。 木端物書きが読むのを保留にしてたのは、そも…

森見登美彦『有頂天家族』

人は読むべき時に読むべき本を読むものだなあと思いながら読了した。 なぜだか読まずに10年以上本棚で肥やされていた我らが森見登美彦先生の有頂天家族は今日読まれることになっていたらしい。 『面白く生きるほかに、何もすべきことはない』 これが全てなの…

魚豊『チ。-地球の運動について-』第1集

この漫画がすごいに入っていたので、認知はしていた作品。 「地動説は当時異端で、研究者は説を捨てたりしながらも最後には認めさせました」なんてさらっと読み流していた世界史の説明が蘇る。 異端であることは死ぬことだった。命懸けで研究をして、資料を…

紺野アキラ『クジマ歌えば家ほろろ』1巻

2冊目。 「クジマ」と名乗る全長180cmのペンギンのような形をした鳥が、冬の間ロシアから日本にやってくる。同じ種族の仲間は人目を忍んで森深くに暮らし、冬にはロシアから日本にやってくるらしいが、クジマは仲間とはぐれてロシア人に育てられ、今回が初め…

林史也『煙たい話』1巻

年に1回くらい、直感で見知らぬ漫画を何冊かお持ち帰りすることがある。今日はそれだった。 これまでも至高の餅SF漫画『プリンタニア・ニッポン』やひとりたちの集う『ふきよせレジデンス』を発掘してきた当企画。自分の自分による自分のための選書。選び取…

岡本太郎『青春ピカソ』

タローがピカソに出会ったら。 岡本太郎からピカソ感じるよなあと思ってたら、岡本太郎がピカソを語った本が出てた。 語るどころか、スペインのアトリエまで行って会って話をしている。そのレポートまでもが載っている、これはもはや至高の1冊といっていい。…

『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』

3月16日に公開する映画がロケ地の江南でお披露目先行上映されるということで、当日券で観た。 監督は井上淳一氏。 名古屋駅の新幹線口を抜けた繁華街にシネマスコーレという小さな映画館があり、そこが開業した時の話。 映画監督・若松(井浦新)が、自分の映…

『東京マグニチュード8.0』(アニメ)

湯浅監督の作品だと思ってたけど、湯浅監督作品は『日本沈没2020』の方だった。その事実に気づいたのは5話目くらいだったけど、5話まで観たらもう途中で止まれるような作品ではなく、今しがた全部見終わった。 2009年にノイタミナで放送された作品。 まずオ…