久しぶりにひとめぼれ方式で漫画を買った。
これは「ひとり」たちがゆるやかにつながるお話。
偶然同じアパートに住んでいる人々。
ちょっと風変わりなツルカメコンビニ。
夢に破れた過去と振られた彼女への未練でできているムーバーイーツのお兄さん。
季節の和菓子を愛好する校閲のお姉さん。
両親を亡くして叔父の隣の家で暮らす女子高生。
日常のふとした場面をきっかけに関わりがはじまって、気がついたら「ひとり」たちの輪ができているような、背伸びしないけどいろんな想いを抱えて日常を生きている話。
最終話で現れた大きな輪の中では、誰が真ん中とかじゃなくて、それぞれが生きて、この場所を選んでその日そこにいるのが分かる。
誰かが光る話じゃなくて、生きている人それぞれが街を彩っていくのだと、そういうやさしさがある。
それぞれに光と影があって、いつも楽しいわけじゃないけど、いつもかなしいわけでもない。
誰かのことを思ってみたり、見えない未来に思い悩んでみたりしながら、切実に、だけれどもゆるやかに、日々の中で微妙な変化を重ねながら、息づいている。
読んでる途中できっと、ツルカメコンビニのお弁当が食べたくなる。いい感じに言っているようで、ただの食欲の発露である。