またたび感想録

観たもの聴いたもの読んだものの感想を述べます。

UNISON SQUARE GARDEN 『Ninth Peel』

待ち焦がれたユニゾンの新作アルバムが発売されました。今回も最高のアルバムです。

 

01.スペースシャトル・ララバイ

「忘れたくても忘れない 今を繋いでいく 僕たちのスピードで」

冒頭フレーズがまぶしい。『ノンフィクションコンパス』がパワーアップして冒頭曲にやってきたような。斜め上で来ることが多いリード曲だけど、今回はどストレートな1曲。

「迷っているのなら呼んでやる 君にできないわけないから 健闘を祈る!」

健闘を祈られるのいいな。個人的に。

これまで取り巻く現実を眺めながらもこう思う、みたいな詞が多かったような気がするけど、ここ数年より「自分が今を生きていく」のだというメッセージ性が強まっている気がする。

 

02.恋する惑星

「おぼつかぬ遊泳待ったなし くそ いいとこ見せなくちゃ」

キャッチーな2曲目。彼女はユニバースだしいろいろ壮大。

 

03.ミレニアムハッピー・チェンソーエッヂ

「だけどどうせいつか終わるから 毎日をちゃんと諦めないでくれ」

これは落ちてから這い上がって至る境地の詞だなあと思う。一種の開き直りというのか。落ちて戻ってこない人もいるし、開き直る人もいる。

でも落ち方が人によって洒落にならないし、受け止め方も違うから比較なんてできるわけもなくて、最近よく途方に暮れる。

 

04.カオスが極まる

「運命論は無駄だ あがけるだけあがいたらいい」

『カオスが極まる』はいい意味で視野狭窄で攻撃的な1曲。先のことを「運命だ」と諦めるのは無駄だというフレーズ。個人的に「これが運命だったんだ」スタンスをとるので、あがけるだけあがいたのも含めて振り返った時に意外と線が繋がってて運命だったなあと思うのがいいと思う。

 

05.City peel

「木漏れ日とともにぼんやりしてる」

日常風景の中で物思いにふける1曲。聞けば聞くほど好きになる。

 

06.Nihil Pip Viper

「余力なんて残さずやっちまわないとしょうもない毀誉褒貶で世界が終わるぞ」

この曲楽しいよね。「耳からスパゲッティで肘で茶沸かすわ」って最高にばかげていて最高。

 

07.Numbness like a ginger

「叶わない夢があっても 明けない夜があっても いつかのどこかで答え合わせしようね」

これブルーロックで聴いた時はテイスト甘すぎないかと思ってたんだけど、アルバムに入るとすごいいい曲だった。

 

08.もう君に会えない

「君の名前をわざと声に出す」

これは…私信に近いけど、心象と風景を共有できるすごくいい歌詞で、突然友人を亡くした人間の心境が歌われている。音楽の教科書に載せてほしいと思う。遺される側の気持ちってあまりクローズアップされないけど、してはいけないのかもしれないけど、そうだよなって。

 

09.アンチ・トレンディ・クラブ

「つよくてやさしい僕たちはお気に召さないですか?」

皮肉の効いた1曲で私は好き。前の曲とのギャップもすごくて空気が一変する。

 

10.kaleido proud fiesta

「問いただしてくれ この街を誇る権利」

この曲はキラキラ感がすごい。タイバニ2のOPということで、オリオンをなぞるや映画曲を彷彿とさせるフレーズや歌詞が散りばめられている。

ニゾンが「今を今を今を」と歌うからなのか、何も決まっていない先のことを漠然と思うよりも、動けて話せる「今」何をするかを大事に思うようになった。それは刹那的かもしれないけど、今を重ねた先にしか未来は来ないし、どうこうできるのは今だけなんだよなあという実感もある。

 

11.フレーズボトル・バイバイ

「忘れられない今日になった!」

ピーカーブー(いないいないばあ)ってここ数年急に耳にする回数が増えた単語な気がするんだけど、かわいいから流行ったのかな。

「忘れられない今日になった!」というフレーズでアルバムが終わり、1曲目の「忘れたくても忘れない今を繋いでいく」に戻るという美しいループが最後のお楽しみとなっている。

 

ニゾンしか愛せなくなってから10年くらい経った。好きな曲は時々あっても、個人的にユニゾンを超えるバンドは未だ現れない。なんかこう聴きすぎてもはや思考回路の一部に組み込まれているのかもしれない。今度のアルバムも最高です。