ユニゾンさんの新曲。
『鴨乃橋ロンの禁断推理』のオープニングになるとのことで、原作の奇怪な本格ミステリと風変わりな探偵、助手に選ばれた刑事との関係性が脳裏に浮かぶような詞になっている。
『君の心が必要で 僕の心は執拗だ
全部をひっくり返しちゃうような 狂騒をくれよ!』
冒頭のフレーズは特に象徴的。
ここが一番原作に寄り添ってる気がする。
『純粋でも 順調でも 順風でも なんだかんだ
全てがつまびらかとかありえないぜ』
全てが明らかになることなんてないというのは、日常を普通に生きているだけでもそうだなあと思う。
人は知りたがるけど、「ありえない」と一蹴しちゃうところがとてもいい。全部どころかたった一言に含まれる真意だって分からないんだよなあ。
『訝ったり 気張ったり 言い合ったり ぴーちくぱーちく
解決の手立てはなかなか難攻不落か?
さあ ちょっと真相吟味 適正に波乱をきたせ』
『適正に波乱をきたせ』という適正と波乱という相反する単語をくっつけるセンスが最高。適正な波乱とは。予測可能な波乱?収束可能な計算された波乱?
『平行線のランデブー 急がなくたっていいじゃないか
傾向はどうなってく? それも心配したってノーレスポンスで
ノーポーズで勇猛不断のストーリーに保証書はないけれど
betしてくれ、ありったけ!』
「保証はない」はユニゾンがよく使う(気がする)フレーズ。どう生きたって保証はないよなあと頷きながら、賭けに出たり出なかったり。
『いけないfool logic あぶないrope walkだって
1000回 10000回 挑戦しない理由は無い
一寸先が闇だなんて言いだしたやつから順番にさよならだ!
最後に笑うのは僕らだろう』
1000回とか10000回とか言ってしまうところが。タブチさんの歌詞は強い、時に強すぎるからダメージを受ける人もいるかもしれない、と思うけど、このぐらい力強く「やればいい」と言われたい人間もいる。
『竜頭蛇尾 叫喚阿鼻 うっせえヤミー
あまさず 皿まで食べるが紳士のたしなみさ
さあ いざやらかせ 爆笑はディナーのあとで』
「さあいざ」のあとに「やらかせ」もあまりお目にかかれないフレーズで、とても好き。
やらかさないように必死に生きる傾向の今日この頃ならなおさら、「いざやらかせ」は魅力的なフレーズだなあと思う。
『shake the world!ここにルールなんてない
映画の世界みたいにfree
言葉にできそうなら そっか それは魔法じゃない
shake the world!遊んでいたいだけ
脳裏によぎった フィクション事情
王様はきっといなくなる なら僕らはどうしよう?
展望を見るにR-指定 では 立ち入り禁止sorry,keep out…』
ここすごい転調する、別の曲になってる。
ここだけ歌詞もそうだけどちょっとムードというか世界観が変わる。
『平行線のランデブー いつか息絶えるまで
傾向はどうなってく? もうどうでもいいぜ順風なんざ
アイデアが情緒 満帆じゃなけりゃ新世紀エンジンで代用しろ
jetしてくれ、ありったけ!』
「新世紀エンジン」がいい。「空前絶後の言葉」とかと同じにおいをかんじる。
『いけないfool logic 手札にbad jokerが
あったって躊躇わない単刀直でshake the world!』
「shake the world」がここでも出てきた。
かっこいい、手元に都合の悪い手があってもバッとガッとやってしまえ!という詞がタブチ先生。
『君の心が必要で 僕の心は執拗だ
あてずっぽを繰り返しちゃうように見えてるとしても
結局僕らが勝利しちゃうから 狂騒をくれよ!』
そらまあ1000回10000回やれば当てずっぽうでもものになるぞというわけで。「執拗」からこの異様な挑戦回数が導き出されているのだろうか。
新曲も「世界」(世の中というか身近な世間というか)に挑む心意気のユニゾンさんらしい1曲。アニメの映像も楽しみ。