タローがピカソに出会ったら。
岡本太郎からピカソ感じるよなあと思ってたら、岡本太郎がピカソを語った本が出てた。
語るどころか、スペインのアトリエまで行って会って話をしている。そのレポートまでもが載っている、これはもはや至高の1冊といっていい。
ピカソの絵は、キュビズムあたりから目に見えるものの描写の向こう側、ピカソが感じた世界の再構築へと向かっていく。
その画面は意味不明、ぐちゃぐちゃ、だけど、なんかある、存在している、のだ。
それ相応のエネルギーや存在感がそこに現れている。美しく整った絵よりもたしかになにかがそこに在るかんじで、熱量に圧倒される。
岡本太郎はかしこいので、ピカソのそういうところを言語化できる。
そして岡本太郎が会ってきたピカソは、まじめに絵画論を語ったりしない。自分の作品を見せて、岡本太郎の作品を見て、いいね、よくないね、と感覚的に会話するし、話題は自由に飛んでいく。イメージどおり。天才は蝶々の如くあってほしい。
岡本太郎は情熱の人なので、ピカソをこの上もなく尊敬しながらもぶっ壊して超えると豪語する。何作か読んできたけど、こんなにはっきり誰かへの尊敬を明言しているところを初めて見たかもしれない。それがピカソなのがどっちも好きな読者的にはたまらない。最高。
ファン垂涎の1冊、こんな素敵な本を生み出しておいてくれたのがありがたすぎる。