またたび感想録

観たもの聴いたもの読んだものの感想を述べます。

磯谷友紀『ながたんと青と』4-6巻

養子のみちやを迎え、大阪・山口家の父が認める成果を出すべく焼き菓子の販売や店の改装をしながら客足を伸ばしている「桑乃木」。

周の兄・縁は早く桑乃木を手に入れてしまおうと周を大阪に呼び出し、様子を見にやってきたいち日の料理に難癖をつける。その縁の妻・鈴音が周の長年の想い人だといち日は察する。

駆け落ちして行方の分からなかった妹・ふた葉と料理人の慎ちゃんも見つかり、桑乃木を手伝ってくれることに。先代のだしの取り方を受け継いだ慎ちゃんのおかげで、桑乃木は昔の味を取り戻すことができた。

周は自分の恋愛感情がいち日に向き始めていると思い始めるが、いち日はそれは思い違いで、周にはいつか家から解放されてやりたいことをやってほしいと伝える。そんな折、鈴音が2,3日匿ってほしいと桑乃木に転がり込んできた。

 

いち日の方は周の長年の想い人が鈴音だと分かり、もともと歳の離れた周を桑乃木に縛り付けることに後ろめたさもあり、鈴音と周が上手くいくならそれもいいと本気で思っている。いち日なりに周のことを好きでいるのだけれど、周の幸せを優先したいと思っている、そういう人らしい。

周の方はいち日との結婚当初の心境からだいぶ変化があったらしく、いち日に想いを寄せているのも正直なところ…なのだろうけれど(描写でも分かるし)、いや鈴音のこと好きだったのでは、そんなすぐ心境変わるものだろうか、とも思うし、いち日ちゃんが思い違いと言ってしまうのも分かる…。鈴音転がり込み事案が次巻でどう動くかでちょっと分かるかもしれない。

たとえば別の想い人から自分に心が移ったと言われても、またどっか行っちゃいそうだなと思っちゃうかもなあ。自分に気持ちが向いたことへの喜びよりも、人の心のはかなさを思ってしまいそうですよ。そんな簡単に好きになったりどーでもよくなったりするんか…はかないねえ…的な気持ちが。周くんがどうなのかはまだ保留だけれども。分からない、人の気持ちは。

 

この物語はハッピーエンドに違いないんですけどね、この空気感…で周くんお別れエンドはないんじゃないか、ないと思う、たぶん。