下鴨納涼古本まつりに出かけてみた。
森見登美彦作品にたびたび登場するあの古本まつりは、毎年お盆の数日間だけ糺の森に現れる。
緑深い夏の糺の森の木立の中に、立ち並ぶテント。
テントの下に本棚がところせましと並べられて、来場者は人ひとりやっと通れる通路を譲り合いながら右往左往する。
本の海とでも言いたくなるくらい、膨大な本で構成された空間。
岩波文庫と講談社学術文庫とちくま文庫が仲良く並んでいる光景がそこかしこで見られるし、哲学や歴史、宗教関係の本も多い。
児童書にも力を入れているようで、懐かしい絵本が並んでいた。
専門書や古い雑誌や歴史資料みたいな和本もあって、専門家のための空間でもあるんだろうなあ。
多読家と稀覯本探索家には絶好の狩場になりそう。
ここで1年分の本を買うなんていう遊びも楽しいかもしれない。ジャンルは多彩で、しかも各ジャンル相当数の本が出品されている。
森のおかげで直射日光はあまり感じなかったけど、1時間もすると結構疲れたので、まつりをあとにした。
出町柳駅のすぐ近くで、ジャズが流れるカウンター席のお店に入る。『LUSH LIFE』という名前で、お店のいたるところに招き猫がいる。ココナッツミルク入りの唐辛子がきりっときいたおいしいカレーが食べられた。
古本まつりは、本好きにとってまぎれもないハレの場だと思う。糺の森の美しさとあいまって、訪れるだけで幸福感を得られる。
現地ではコーヒーや軽食を売っている一画もあるので、楽しい夏のひとときに。