またたび感想録

観たもの聴いたもの読んだものの感想を述べます。

迷子『プリンタニア・ニッポン』3巻

お正月なので餅のような不思議生物が出てくる漫画の話を。

 

・新種の生物「プリンタニア・ニッポン」

白くてもちもちとした、四つ足の生き物。

3D生体プリンタの操作に失敗すると、あらゆるエラー時に出力される。

「自動で蓋が開くまでお待ちください」というアナウンスを無視して中身を取り出したら、エラーエラーと騒いでプリンタニアを出力するくらいすぐ出てくる仕様になっている。

かわいい上に、人の言葉や心情をよく理解するし、意思表示も盛ん。各個体の性格差や個性も豊か。

飼い主たちがかわいいプリンタニアを見せ合う生餅会というコミュニティでも交流が盛んらしい。

主人公は白くてもっちりとした姿をみて「すあま」と名付けた。

 

・3D生体プリンタがある世界

どうも一度人類は滅びたらしい世界観だということが分かってきた。

「ネコ」と呼ばれるロボットたちが社会を切り盛りして、個人には「コンサル」がついている。電子管理が行き届いた社会。

ディストピアのように見えて、ネコも人も一生懸命働くし、ときにゆったり時に慌ただしく普通の日々を暮らしている。

肉体が死んでしまう「死」の概念があるけど、記憶や人格はデータ移管してプログラミングされた仮想空間で生き続けたりしている。

そういうこみいった世界観が、主人公たちの生活の範疇で当たり前のように垣間見える。

 

普通に生きてても世界の構造なんてわかんないので、この形がいいと思う。

各巻の巻末読み切りでプリンタニア視点の日常が描かれる。どの子も、ああお話しするとしたらこんな感じだよなあという雰囲気を醸していて、そして飼い主愛にあふれている。かわいい。

うっかり飼いたくなったあなたは、ぬいぐるみを購入するとよいと思う。とてもふわふわもちもちです。

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